ニュース一覧へ

「スタートからフィニッシュ」を共通言語に ノジマ相模原が夏に高めた日本一への基準

【ディフェンダーを振り切って走るRB吉田祥(左) ©X LEAGUE】

試合開始から7分29秒でスコアは21対0。ノジマ相模原ライズが目指した「スタートダッシュ」は、これ以上ない形で結果に表れた。
約2カ月ぶりの公式戦となったOrientalBioシルバースター戦。ノジマ相模原は攻守で序盤から圧倒し、31対7で快勝した。今季の成績を2勝2敗1分けとし、ライスボウルトーナメント進出へ大きな白星を手にした。
「スタートダッシュできるようにしようと、チームにはずっと言い続けて準備してきました。過去4試合でできなかったスタートダッシュが、うまくできた試合だったと思います」
伊倉良太ヘッドコーチがそう振り返ったように、ノジマ相模原は開始直後からアクセルを踏み込んだ。

最初の攻撃シリーズでは、主将のRB吉澤祥が口火を切った。38ヤードを走って勢いをつけると、最後はQBカート・パランデックがWRチェイス・コタへタッチダウンパスを通して先制。その後の2シリーズでも連続してタッチダウンを奪い、わずか7分29秒で21点のリードを築いた。
「まずはほっとしたというのが一番です。夏に準備してきたものをしっかり出せた試合だったと思います」
吉澤は安堵の表情を浮かべた。ただ、序盤の猛攻は偶然生まれたものではない。春の4試合で浮かび上がった課題と向き合い、チーム全体でプレーの基準を引き上げた成果だった。

【ジャンプしてパスキャッチするWRチェイス・コタ(左) ©X LEAGUE】

転機となったのは、第2節のIBM BIG BLUE戦だった。ノジマ相模原は12対24で敗戦。吉澤は、この黒星を境にチームの取り組み方が変わったという。
「やること自体は変えていません。ただ、今年は『スタートからフィニッシュまで』を徹底しようと話してきました。それをどのレベルでやるのか、どれくらいできれば自分たちの合格点とするのかを話し合い、取り組み方を変えました」

伊倉HCも、夏の中断期間で戦術的な「大きな方向性」は変えていないと話す。こだわったのは、一つひとつのプレーをどの水準で遂行するかだった。
「クオリティの部分をもっとこだわってやろうと。レベル感を日本一の水準に合わせた『スタートからフィニッシュ』を持ってやっていこうと取り組んできました」

指揮官と主将の言葉は、示し合わせたかのように重なる。それだけ「スタートからフィニッシュ」が、単なるスローガンではなく、チームの共通言語として浸透しているのだろう。
その中で、攻撃を勢いづけたのが吉澤だった。11回のランで96ヤードを獲得し、1回平均8.7ヤードを記録。ノジマ相模原はチーム全体でも地上戦を支配し、守備はOrientalBioのランをわずか16ヤードに封じた。
それでも吉澤は、自身のパフォーマンスに満足していない。
「前半の最初のドライブでは良いランを出せたと思います。ただ、それ以降は自分の欲が出たランになってしまい、思うようにプレーできませんでした。そこは自分の課題として受け止めて、次節は100ヤードに乗せられるように頑張りたいです」

【OrientalBioのKRケーシー・ホーン(中央)をタックルに行くLBフィリップ・レッドワイン(左から2番目)とWR伊藤圭吾(右) ©X LEAGUE】

チームも同じだった。理想的なスタートを切った一方で、第2クオーター以降に奪った得点は10点。第3クオーター中盤から2本目以降の選手を起用すると、攻撃では得点を取り切れず、守備は相手にドライブを許した。
伊倉HCは「思っていた成果は出なかった」と率直に認める。
「セカンドメンバー以降の成長と活躍は、この長いシーズンでは必須です。まだまだそこがライズの伸びしろだと思っています」

吉澤も「スタートの部分はすごく良かった」と手応えを口にする一方、最後までその勢いを持続できなかったことを課題に挙げた。
「継続してフィニッシュまで持っていく部分が弱かった。特にフィニッシュの部分を意識していきたいです。2本目の選手が出た時に、得点を取り切れなかったり、相手にドライブされたりしたことも大きな課題です」

【中央突破するRB星野真隆 ©X LEAGUE】

31対7というスコアだけを見れば快勝である。しかし、ノジマ相模原が合格点としているのは、目の前の相手に勝つだけの水準ではない。基準はあくまで日本一だ。
試合の入り方は変わった。次に求められるのは、そこで生んだ勢いとクオリティを最後まで落とさないこと。そして、先発だけでなく、誰がフィールドに立っても同じ水準で戦えるチームになることだ。
「スタートからフィニッシュ」を本当の武器にできるか。後半戦初戦の快勝は、ノジマ相模原が夏に積み上げた成果と、日本一の基準までに残された課題の両方を映し出していた。