初キャッチが初TDの鮮烈デビュー 富士通の大型新人WR松岡大聖が踏み出したXリーグへの挑戦
【5月10日の対東京ガス戦で初キャッチで初TDをマークする富士通フロンティアーズ新人WR松岡大聖(中央) ©Fujitsu】
Xリーグプレミア開幕節第2日、5月10日に富士通スタジアム川崎で富士通フロンティアーズは東京ガスクリエイターズと対戦した。3年ぶりの日本一を目指す富士通に今季最初のタッチダウンが生まれたのは、第2クオーター半ばのことだった。
ゴール前14ヤードからQB高木翼が放ったパスを、右サイドライン際を縦に上がってCBと1対1の競り合いになりながらエンドゾーンに走りこんだ新人WR松岡大聖の手に収まった。オーバーショルダーでの難しいパスキャッチは、松岡にとって社会人での初キャッチ、初タッチダウンでもあった。
「先輩たちがドライブしてきたのに、最後だけ僕がもらっちゃっていいんですか?という感じで、ちょっと申し訳ない半面、めちゃくちゃ嬉しいです」と試合後に松岡は相好を崩す。開幕戦で出場する可能性は試合の1週間ほど前に伝えられたが、出場機会はそれほど多くないだろうと思っていたそうだ。「(自分の出番は)ポイント、ポイントで数プレーくらいかなと思っていました。まさかボールがもらえて、それがタッチダウンパスだとは思っていませんでした」
【©Fujitsu】
鳴り物入りの新人と言っていい。中央大学時代は4年間で2度、関東大学リーグのリーディングレシーバー(キャッチ回数)になった。1年生時は関東大学リーグでは1981年の2部制導入後初となるルーキーでのリーディングレシーバーになり、3年生時は同リーグ歴代記録を塗り替える52キャッチを記録した。父と二人の兄がいずれもアメフト選手、伯父は殿堂入りの松岡秀樹氏(日大、レナウン)という「アメフト一家」のDNAを受け継ぐ活躍をしてきた。Xリーグの公式アンバサダーの姫子さんは3つ上の姉にあたる。

【試合後に家族と記念撮影する松岡(右から2番目) 左から父の輝茂さん、姉でXリーグアンバサダーの姫子さん、松岡、母の朱美さん 姫子さん提供】
それでも社会人リーグでのプレーにはあまり自信を持っていなかったという。富士通の練習に合流したばかりのころは「自分ってこんなに下手クソなんだなと思いながら練習をやっていた」そうだ。「QB が投げるボールひとつをとっても、ディフェンスの上がりの速さひとつをとっても、学生とは全然違うと感じました」と松岡は言う。
そんな松岡が武器とするのは186㎝の身長だ。富士通のWR陣では神優成と並び最も高く、TEを含めても2番目の高さだ。「大学時代は自分が1番のハイポイントキャッチャーとしてやっていました。富士通でも背が高い方ですけど、自分より大きいレシーバーの方もいるので、その方たちに勝てるようにどんどん鍛えて、ハイポイントを取るなら一番になれるように頑張りたいと思います」
松岡の身長はQB高木も「武器になる」と語る。「練習でも(ディフェンスとの) 1対1で 競わせるようなボールを投げても普通に捕ってくれる。そういうのが積み重ねると信頼にも繋がります」
「富士通のパスユニットはハイレベルなことが要求されます。スピードがあるとか、キャッチができるというだけでは試合には出られない。そんな中でこの1~2カ月でローテーション入りを勝ちとってくれたのはすごいことだと思う」と高木は言う。「まだミスもあるし、もっとできると思うけど、センスというか持ち前のフットボール能力は目を見張るものがあります」
【「松岡の高さは武器になる」となと語る富士通QB高木翼 ©X LEAGUE】
大学アメフトとの違いは日常的に感じているそうだ。チームのQB陣やコーチ、レシーバーの先輩たちだけでなくディフェンスからの指摘もすべてが的確で、これまで高校や大学で培ってきた知識がどんどん上書きされる毎日だ。そんな日々に少しと毎度いながらも、何でも吸収しようとしているという。
「彼はよく人の話を聴く。僕の若いころとは違って(笑)」と評するのはWRサマジー・グラントだ。「いつも真剣なまなざしでアドバイスを聴いているので、彼は伸びると思う」
身近に手本となる先輩レシーバーが多い中で、松岡が理想とするのは松井理己だそうだ。かつて松井が中央大学の練習に来たことがあった。当時の中央大学のコーチに「お前はああいう選手になれ」と言われたときから目指している存在だ。
そんな松井を日常の練習で目の当たりにする。「松井さんは大きいし、スピードもあって球際にも強い。ファンダメンタルがしっかりされている」と松岡は語る。「松井のようになりたい」がいつしか「超える選手になりたい、ならなければいけない」に変わってきた。「全然遠く及ばない」と松岡は言うが、それを実現することが彼自身のみならず、富士通の目指すところでもある。
「松岡には『もっと自分が(試合に)出られるようにいろんなポジションをやるとか、方法を探していきなさい。お前には絶対できるから』と話したことがあって。そういう時に目を輝かせて聴く純粋さを彼は持っていて、そこはすごいと思う」と高木も期待を寄せる。そんな高木に、「(松岡は)育て甲斐ありますね」と問いかけると「はい」という答えが返ってきた。