身長167センチの万能兵器—アイビーリーグ出身RBマルコムが変え始めたオール三菱
オール三菱ライオンズのRBアイザイヤ・マルコムは、167センチ、77キロというサイズからは想像できないほどダイナミックなランナーだ。低い重心から鋭く切り返し、一瞬でギャップを切り裂く。5月24日に行われたOrientalBioシルバースター戦では、その万能性を存分に証明した。ラン、レシーブ、そしてパントリターンでそれぞれ1タッチダウン。まさに「どこからでも点を取れる男」だった。
オール三菱はこの日、38対20で今季初勝利。試合後、マルコムが何度も口にしたのは、自分を信じてくれた人たちへの感謝だった。
「ライオンズは、自分を信じてくれたチームだった。林(顕)HCも、自分という人間をすごく大切にしてくれている。そういう関係を築いてくれた人のためなら、自分も全力を尽くしたい」
昨季、マルコムは来日1年目ながらオールXリーグに選出された。しかし本人の感覚としては、「本来の自分」にはまだ届いていなかったという。
「去年日本へ来た時は、時差や気候、チームの中で求められる役割など、とにかく適応しないといけないことが多かった。本当に一度にいろいろなことが押し寄せてきた感じだった」
今季は違う。チームにも、日本での生活にも慣れた。自分が何を求められているのかも理解している。だからこそ、第2節では爆発した。特に印象的だったのは、その「万能性」だ。RBでありながら、パントリターンでも一発を狙える。さらにこの日は、エンドゾーンを背にしながら相手守備と競り合い、それでもパスをしっかり収めるなど、レシーバーとしての能力も見せつけた。本人も、自らの最大の武器として「Versatility(万能性)」を挙げる。
「スペシャルチーム、レシーブ、ラン、どこでもインパクトを残せる自信がある。それはチームにとって大きな価値になると思うし、自分がいることでチームメイトが活躍するスペースも生まれる」
林HCも、その能力に全幅の信頼を寄せる。
「ゼイ(マルコムの愛称)はもともと能力が高いので、スーパーキャッチをしてくれたらいいと思っていた」
その姿は、まさに走って捕れる「現代型RB」そのものだ。

マルコムはペンシルベニア大出身のランナー。アイビーリーグに所属する同大は、全米屈指の名門校として知られる。2023年にはJAPAN U.S. DREAM BOWLでアイビーリーグ選抜の一員として来日。ゲームMVPにも選ばれた。
「あの1週間は本当に素晴らしかった。『もっと早く日本に来たかった』と思ったくらいだよ」
オール三菱加入は、日本でプレーしていた知人とのつながりがきっかけ。プレーする機会を与えてくれたチームに対し、マルコムは全力で応え続けている。
試合後、マルコムは、第1節の敗戦から立て直して勝利をつかんだライオンズについて、「シーズン終盤には今とはまったく違うチームになっていると思う」と語った。林HCも、開幕節からの変化に確かな手ごたえを口にする。マルコムが第2節で見せた爆発力は、その“変化”の序章なのかもしれない。